■健康診断は済みましたか?―その5_080107
血圧高めですか?
年齢とともに血圧が上がってくることはよくあることです。皆様の周りでも血圧の薬を服用している方も多いと思います。また健康診断では緊張してしまい、普段高くないのに血圧が高いですと言われる方も多くいます。このように血圧が高くなることはありえることですが、どうして薬を飲む必要があるのでしょうか |
私が医者になり大学病院で研修を始めた昭和57年頃のはなしです。当時は医局ごとに当直医がいて、指導医の先生と二人で当直をしていました。緊急の電話で呼び出されて救急室に行くと、救急車からいびきをかいた意識不明の50歳代の男性が搬送されてきました。緊急のCTが行われ、くも膜下出血で脳の血管が切れて脳内で出血していました。脳外科の先生に相談しましたが手が付けられない状態で、数日で亡くなられました。高血圧が原因の一つでした。お父さんが、息子さんとはさっきまで一緒にテレビを観ていたのにどうしてこんなことになるのかと嘆いていたのを記憶しています。
その当時は今のように効果のある血圧の薬がなく、また健康診断も今ほど行われていなかったため、血圧の高いことが見逃され、またうまく下がらなかったのも事実です。先ほどの男性のように血圧が高いのをずっと気づかずに放っておくと、血管がこらえきれなくなって、たとえば脳の血管のこぶ(脳動脈瘤)のところで破けて出血してしまうのです。入院当初はこの男性の血圧が200近くあったのを記憶しています。このような患者さんが毎日のように搬送されてくることが多かったのです。
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| それから少しして、効果のある血圧の薬が日本でも発売されました。当初は狭心症の薬として開発されましたが、血圧が非常に下がることが判り副産物的な効果として使われるようになりました。日本の血圧の薬の歴史を変える薬で、病棟でその効果を身をもって経験しました(当時私は研修医のため外来はしていないため)。この薬は効果の時間が短かったのですが改良されて今でもよく使われています。この薬の開発は臨床医として感激に値する出来事でした。 |
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その後徐々に高血圧の適切な治療が行われるようになり、20年間の大学病院生活の中で脳内出血のため意識不明で搬送されて来るような方は激減しました。その代わり現在最も注目されているメタボリックシンドロームに代表される動脈硬化が進行して発症する脳梗塞が増えて来ており、時代の変化を感じます。
年齢により変わりますが、高血圧の方は薬を飲む必要があります。特に若年発症の高血圧の方は血管に負担がかかる時間が長いわけですから服用が望まれます。
体重が90Kgの肥った方が健診で高血圧を指摘され相談にこられたときです。私は自己努力をして血圧を治しますと言われました。ただ実際日常生活の中で厳格なダイエットをして20Kgの減量と塩分制限をきちんとすることは難しく、なかなか血圧が下がりません。それで減量がうまくいって血圧が下がれば薬は中止できるのだからとお話しして服用を開始し、残念ながら服用はいまでも続いています。
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今回は高血圧がなぜ治療が必要なのかを私の過去の経験をもとにお話ししました。現在身体に負担のかからない薬が多数臨床で使われています。健康診断で毎年高いと言われながら治療をしていない方や、高血圧なのは判っているのだけれどもいまひとひとつ治療に踏み切れない方も多くいらっしゃいます。かかりつけの先生と相談して経過観察でいいのか治療の必要があるのかを診てもらって下さい。根性では血圧はさがらないのですから。
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