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Dr.吉本の健康アドバイス

食肉による食中毒について

最近は様々な文化の流入などでいままで食べなかったものを食べるようになりました。そのために経験したことがないような寄生虫や細菌による食中毒などが発生しています。いまから40年ほど前ですが、私の父が珍しい病気を教えてくれました。その患者さんは皮膚に赤いあざのようなものがたくさんできて来院されたとのこと。父も原因がわからずいろいろな病院を紹介したのですが一向に診断がつきません。よくよく話を聞いてみると、皮膚症状が出る前に長野か群馬あたりの民宿でイノシシ料理を食べたそうで、その中にイノシシ肉の刺身があったとのこと。これでやっと診断が付いたのですが、トリヒナ症という珍しい寄生虫による病気で寄生虫の卵が刺身から入り人体で孵化し小さな成虫となり皮膚の下を這っていたのです。結局は駆虫剤を服用して治ったとのことですが、野生の肉の生食が危険と教わったのもその時が最初かもしれません。

ユッケ、レバ刺による食中毒

 2011年にとある焼肉店でユッケを食べたことによる集団食中毒が発生し、亡くなられた方も出る事件が起きました。これは牛肉の表面に腸管出血性大腸菌O-111(O-157ではない)が原因とされました。実際牛肉の刺身では完全に菌がいないかどうかは目で見て判りませんので、生食は禁止になりました。牛のレバ刺も禁止となりましたが、現在のところ豚のレバーは禁止されておりません。昔から豚の肉は良く焼いて食べましょうと言われていましたが、もっとも危険な部位を生食するのはぜひともやめた方がいいでしょう。

焼肉屋でのトングの使い方

 トングは生肉を焼くためにだけに使用するものと取り分けるのとを完全に使い分けなければいけません。生肉をつかんだトングで焼いた肉を自分の皿にとればその時点で菌が付く可能性が出るのです。間違ってつかんだ場合はもう一度焼くことや箸やトングを火炎で滅菌してください。

E型肝炎

 わが国では2002年にシカ肉を生で食べたことが原因によるE型肝炎が最初に確認された例として厚生労働省より報告されています。その後もイノシシや豚の生肉やレバーの生肉を食べて発症した例が報告されています。約6週間の潜伏期間の後だるさや食欲不振、黄疸などがあらわれることがあります。ほとんどが感染した肉を食べたことによるためで、十分に焼いて食べることで防げるため特に豚や鹿、イノシシなどはよく焼いて食べる注意が必要です。市販されている生肉の検査でも一定の頻度でE型肝炎ウイルスがいることが判っていますので、食事として提供されたものでも生食だけは控えてください。

キャンピロバクター腸炎

 食中毒のなかで最も発生件数が多いのがこのキャンピロバクター菌によるもので、発熱、おう吐、腹痛、下痢などの強い症状が出ます。潜伏期間は3-5日で、多くの場合生や不十分に加熱された鶏肉や牛、豚肉を食べることで発症します。鶏刺など最近は食べることがあるようですが、このような病気があることを理解したうえで食べることをお勧めします。

ジビエ料理

 ジビエとは狩猟によって得られた野生動物のことですが、地方では以前から地元の野生動物を食べる習慣があり、またグルメ志向のなかでフランス料理などではシカ肉などを食べることが多くなりました。やはり野生の動物ですので何が寄生しているかはわからないため、十分な加熱しての調理が必要です。冷凍したシカ肉やツキノワグマの肉でもE型肝炎や寄生虫の発生が認められており、冷凍による駆除効果はないと考えられます。最近ジビエの生肉を提供する店があると報じられていますが、やはり医学的にはきわめて危険といわざるをえませんので、加熱したものを食べるようお願いします。

焼肉屋では、いまでは牛肉や牛レバーの刺身を食べることはなくなりました。ユッケなど以前はよく販売されていたようですが、私は感染症のことが気になり食べたことはありません。食材を提供する側も人獣共通感染症という概念があり、加熱をしないと安全でない食材があるということを理解したうえで調理してほしいものです。


吉本一哉
九品仏/吉本診療所院長[医学博士]
吉本診療所のホームページはこちらhttp://yoshimoto-clinic.jp/
2015.4.15

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